だいたい、自己啓発本とかビジネス書というのは、「何をすればいいか」を教えてくれるものです。たとえば、「笑顔で挨拶しよう」というのが本の結論的メッセージだったとしたら、「とりあえず、挨拶してみればいいんだな」ということがわかる。誰にでもわかる。あとはそれを実践するかどうかの問題で。
しかし、今度の石井の新刊、『壁』は少し違う。
たぶん、読み終わっても、いったい何をすればいいのかわからない。たしかに、面白かったような気もするし、深いことを勉強したような気もする。あちこちに素敵な言葉が散らばっていたような気もする。
でも、手ごたえがない。読後、何を学んだのかと聞かれても、すっきり答えられない。
ところが、『壁』を読んだことを忘れてしまったあたりから、自分の感じ方や考え方、振舞い方が自然に変わってくる――。
そんな感じを狙いました。
読者の意識にではなく、潜在意識にさりげなく浸透させる。催眠療法家・石井裕之のたくらみが織り込まれた本です。