西野椰季子先生の凄いところは、食に関する真に正しい知識と経験、そして圧倒的な哲学と美学をもっていながら、他の人の口にするものについて、押しつけがましいことは決して言わないというところです。
ふつう、頭の知識でこういうことを勉強している人は、頼まれもしないのに他人にあれこれアドバイスしたがる。
それは食や健康だけでなくて、自己啓発が好きな人とか、ヘンな宗教にハマっている人とか、占いなんかを勉強している人にも、よく見られる傾向です。
でも、西野先生は、たとえば、すぐ隣で知り合いが酷い食品を食べていたとしても、嫌な顔ひとつしない。何も言わない。
しかしそれは、「人はひと、自分はじぶんだから」と思って何も言わないのでは決してない。そういう他人に無関心な態度とは、むしろまったく逆なのです。
西野先生が何も言わないのは、「押しつけのアドバイスでは、その人は決して変わらない」ということを知っているからです。
だからこそ、もしその人が、「こういう食事はやっぱりよくないのでしょうか?」と自分から問題意識をもって聞いてきたとしたら、西野先生は、ほんとうに心を込めてアドバイスしてくれるのです。
シュタイナーも、「聞かれなければ、決して何も言わなかった人」だったそうです。相手の意識魂――つまり、本人の決断をとことん尊重する姿勢です。だから、「私はこう決めました」と言われたら、それがどんなに間違った決断であったとしても、シュタイナーは、ただ、「そうですか」と寂しそうに答えるだけだったといいます。
信じる道をいく人にとって、それはほんとうに辛く苦しいことだと思うのです。徹底的な信念と強さがなければ、できないことだと思います。そういう人は、ほんとうに少ない。
本物のほんものたる所以。
自己啓発セミナーマニアや、趣味の健康オタクには、決してできないことです。